万が一のリスクに備えるための方法として、生命保険への加入があります。しかし、生命保険の詳細はよくわからないという人も多いでしょう。生命保険の種類は複数あるため、それぞれの特徴を理解したうえで自分に最適な商品を選ぶことが大切です。
この記事では、生命保険について詳しく解説します。生命保険のメリット・デメリットや選び方もまとめているため、ぜひ参考にしてください。
1.生命保険とは?何のための備え?
生命保険とは、契約者が保険会社に保険料を支払い、被保険者(自身や家族など)に万が一のことがあった際に保険金を受け取れるしくみの商品です。 生命保険の保障の対象は「生命(人の生死)」 であり、種類としては死亡保険、生存保険、生死混合保険などがあります。また、保障内容や保障期間などの違いによりさまざまな生命保険商品があり、選ぶ保険商品やプランによって保険料は異なります。
死亡や病気などで高額な資金が必要になることになったとしても、(医療保障もついた)生命保険に加入していれば、保険金や給付金として一定のまとまった金額を受け取ることが可能です。受け取る保険金や給付金の額は、それまでに支払った保険料の総額を上回るケースもあります。その理由については後述しますので、そちらを参考にしてください。
1-1.生命保険の仕組みとは
生命保険は、加入者本人が支払った保険料を積み立てて、当人の給付金や保険金にあてているわけではありません。他の加入者との相互扶助の仕組みにより成り立っていて、ある加入者が万が一の場合に、その生命保険の加入者全員が支払った保険料のなかから、給付金や保険金が支払われます。
1-2.生命保険と共済の違い
生命保険と似た仕組みとして、共済があります。生命保険と共済は、いずれも相互扶助に基づく制度です。共済の例としては、農協(農業協同組合)や生協(生活協同組合)などがあります。共済の加入者に万が一のことがあった場合、加入者全員から集めたお金のなかから共済金が支払われます。
共済は非営利のしくみであり、掛け金も比較的手頃です。また保障内容がシンプルな商品を主力にしているところが多いです。
一方、生命保険は商品の種類が豊富で、特約も含めてプランをカスタマイズできるものが多いです。
1-3.生命保険と医療保険の違い
生命保険の保障対象は人の生死です。被保険者が死亡した際に保険金を受け取ることで、残された家族の生活を守ることができます。そのため、保険金の受取人には、通常、被保険者の家族を指定します。
それに対して医療保険の保障対象は、病気やケガをした場合の医療費です。被保険者が病気やケガをして病院に支払う医療費が発生した場合に、経済的な負担を軽減する目的があります。そのため、医療保険の保険金の受取人は、通常、被保険者自身となります。
なお、保険のなかには生命保険と医療保障を組み合わせた商品もあります。生命保険や医療保険への加入を検討する際は、それぞれの違いを理解したうえで、自分に必要な保険を選ぶ必要があります。
2.生命保険の役割とは?
生命保険にはどのような役割があるのでしょうか。以下で具体的に解説します。
2-1.死亡や高度障害などの万が一に備える
生命保険に加入していれば、不慮の事故や病気により死亡した場合や高度障害になった場合に保険金を受け取れます。公的な保障である遺族年金などもありますが、一家の大黒柱に万が一のことがあると公的年金だけでは足りない可能性があり、そうなると残された家族が生活に困ることになるでしょう。
まとまった資金を確保する方法としては貯蓄もあるものの、一定の金額が貯まるまでには時間がかかります。生命保険ならば、比較的少額の月払保険料で加入でき、加入直後から高額な保障を受けられるため安心です。
2-2.病気やケガによる通院・入院・手術に備える
病気やケガを治療するには、通院、入院、手術などが必要です。生命保険に医療保障をプラスすれば、高額な医療費がかかる場合に備えられます。
公的な医療保険(いわゆる健康保険)が適用されるため、医療費は原則として3割負担です。しかし、がんをはじめとする大病や事故による大けがでは、健康保険が適用されても自己負担額が高額になる可能性があります。高額療養費もありますが、それでも自己負担が大きくなるケースもあるため要注意です。
資金を用意できないと満足な治療が受けられなかったり、自分自身や家族の生活に支障が出たりするリスクもあります。生命保険と医療保険を組み合わせて加入していれば(もしくは医療保険のみの加入でもOK)、病気やケガによる医療費の不安を軽減できます。
2-3.将来のイベントや介護に備える
貯蓄機能がある生命保険を活用すると、まとまった資金が必要になる将来のライフイベントに備えられます。たとえば、子どもの学費を確保するための学資保険や、老後の資金を貯めるための個人年金保険など、目的に応じた保険商品が販売されています。
また、介護資金はいつ必要になるか具体的にはわかりません。今は介護保険がありますが、貯蓄性のある生命保険に加入していれば、必要なときに解約して払戻金を介護資金にあてることも可能です。
3.生命保険に加入するメリット・デメリットとは?
生命保険への加入には、メリットとデメリットの両方があります。以下でそれぞれについて解説します。
3-1.生命保険に加入するメリット
生命保険に加入すると、将来の経済的な不安を軽減できます。病気やケガは誰にでも起こりうるうえに、いつ起こるか予測できません。その際には、治療にかかる費用や亡くなった後に家族が生活するための資金が必要となります。
貯蓄だけでは十分な資金の確保は難しいため、月々一定額の支払いで手厚い保障を受けられる生命保険への加入は、合理的な判断といえます。また、 支払った保険料や受け取る保険金には、所得税の所得控除や相続税の非課税枠など税制上の優遇 もあります。
3-2.生命保険に加入するデメリット
生命保険に複数加入したり保障を手厚くし過ぎたりすれば、保険料が高額になります。家計を圧迫する可能性があるため、注意が必要です。また、長期間加入していると、インフレにより保障内容(保険金の額)が不足する可能性もあります。生命保険に加入した後も、状況に応じて定期的に見直しは必要です。
また、貯蓄機能がある生命保険を解約する場合、時期によっては 解約払戻金が支払済みの保険料総額を下回るおそれ があります。計画的な加入を心がけましょう。
4.3種類の生命保険と生命保険会社が扱うその他の保険
生命保険はその仕組みから3つに分類できます。ここでは、それぞれの特徴について解説するとともに、生命保険会社が扱うその他保険種類についても説明します。
4-1.死亡保険
死亡保険は、被保険者が死亡した際に保険金が支払われる保険です。保障期間によって、定期保険と終身保険にわかれます。
定期保険は、契約してから一定期間の死亡を保障する保険です。一方、終身保険は、契約から一生涯の死亡を保障する保険です。
4-2.生存保険
生存保険は、契約で定めた期間が満了した時点で生存していると保険金が支払われます。たとえば、個人年金保険などが該当します。
4-3.:生死混合保険
生死混合保険は、死亡保険と生存保険を組み合わせた保険です。被保険者が保障期間の途中で死亡した場合は死亡保険金、期間満了時に生存している場合は満期保険金が支払われます。生死混合保険としては、養老保険が代表です。
4-4.その他の保険
生命保険会社が販売する保険商品には、死亡や生存を問わず、病気やケガなどに対する保障がある商品もあります。種類が豊富なため、それぞれの状況に合わせて活用することで幅広いリスクに備えられます。具体的には、医療保険、がん保険、介護保険、就業不能保険などです。
5.生命保険の種類ごとの特徴とメリット・デメリット
生命保険の種類によって、メリット・デメリットに違いがあります。以下で詳しく解説します。
5-1.死亡保険に分類される保険
ここでは、死亡保険に分類される終身保険、定期保険、収入保障保険の特徴とメリット・デメリットを解説します。
5-1-1.終身保険
終身保険は、保障が一生涯続く保険です。満期保険金の支払いはないものの、解約すれば解約払戻金を受け取れます。つまり、万が一に備える保障と老後に向けた貯蓄の両方の機能があります。
ただし、 早い時期に解約すると、支払った保険料の総額を解約払戻金が下回る可能性がある ため要注意です。また、同じ保険金額の定期保険と比較すると、保険料が割高になる傾向があります。
終身保険とは?|メリットやデメリット~活用法や終身保険の種類まで
5-1-2.定期保険
定期保険は保険期間が限られている保険です。掛け捨てと呼ばれるタイプの保険で、通常、解約払戻金はありません。保険料が比較的安いため加入しやすく、一定期間のみ保障を受けたい場合に向いています。
定期保険とは?|特徴やメリット、終身保険とは違う活用法を解説
5-1-3.収入保障保険
収入保障保険は、被保険者が死亡した場合に年金形式で保険金が支払われる保険です。毎月10万円や20万円といったように、一定額が支払われます。保険期間が決まっている定期保険のなかまで掛け捨てタイプの保険です。年金が受け取れるのもその保険期間内なので、期間の経過に応じて年金の総受取額が徐々に少なくなっていく仕組みです。
収入保障保険は保険料が比較的安く、残された家族の生活費や教育費などを確保したい場合に向いています。 一括での受け取りも可能ですが、年金形式よりも保険金の総額が少なくなります。
5-2.生存保険に分類される保険
ここでは、生存保険に分類される個人年金保険や学資保険の特徴、メリット・デメリットを解説します。
5-2-1.個人年金保険
個人年金保険は、事前に定めた年齢になると、定期的に一定額の年金を受け取れる保険です。公的年金に加えて老後の資金を確保するために役立ちます。また、一定の条件のもと所得税の
個人年金保険料控除の対象
となります。
一方で、
途中で解約すれば、払い込んだ保険料を解約払戻金が下回る
可能性が高くなります。
5-2-2.学資保険
学資保険は、子どもの学費としてまとまった資金が必要になる時期を見据えて契約し、所定のタイミングで保険金を受け取れる保険です。学資保険を利用すれば、将来必要となる子どもの学費を計画的に用意できます。保険期間中に親(契約者)が亡くなった場合に備え、死亡保障をつけられる保険もあります。
貯蓄性のある学資保険ですが、加入後に事情が変わって、途中で(早期に)解約すると元本割れする可能性が高く、よく考えたうえで加入するようにしましょう。
5-3.生死混合保険に分類される保険
ここでは、生死混合保険に分類される養老保険の特徴、メリット・デメリットを解説します。
5-3-1.養老保険
養老保険は、保険期間中に死亡しても期間満了時に生存していてもどちらでも保険金が支払われる保険です。万が一に備えつつ、将来必要になる資金を準備できます。ただし、保険料が割高なため、終身保険や定期保険と比較すると家計の負担になりやすい保険です。
5-4.その他の保険
医療保険、がん保険、介護保険、就業不能保険の特徴とメリット・デメリットについて解説します。
5-4-1.医療保険
医療保険は、病気やケガで入院、手術等が必要になった場合に給付金や保険金を受け取れる保険です。病気やケガにともなう突然の出費に備えられ、経済的な負担をあまり気にせずに必要な治療を受けるのに役立ちます。ただし、すべての入院や手術が対象になるわけではありません。対象となる入院や手術の条件などは各商品の約款で定められています。
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5-4-2.:がん保険
がん保険は、がんと診断されたときや、所定の手術・入院・治療等に対して給付金や保険金が支払われる保険です。がんの治療は高額になるケースが多いですが、がん保険に加入していれば治療に必要な資金に備えられます。がん以外の病気には対応していないため、他の病気に備えるには別の保険に加入するか、特約を付加しなければなりません。
5-4-3.介護保険
介護保険は、被保険者が所定の要介護状態になったときに給付金や保険金が支払われる保険です。保険金・給付金は、商品により年金形式や一時金形式があります。介護が必要になった場合の費用を補填できるため、家計にかかる経済的な負担を抑えられます。
介護保険で給付金や保険金が支払われる所定の条件は、公的介護保険に連動して一定の要介護状態以上になった場合や、各保険会社が定める個別の条件を満たした場合など、商品により違いがあります。
5-4-4.就業不能保険
就業不能保険は、病気やケガが原因で働けない期間が生じた場合に収入をカバーする保険です。働けなくなった際の給付金額は、契約時に決定します。保険期間の途中で仕事を辞めても、保険料を払い続けていれば設定した給付金額に変化なく契約は継続します。
就業不能保険に入っていれば、急に働けなくなったときの経済的な不安を軽減できます。
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6.生命保険の保険料の決まり方
生命保険の保険料は、純保険料と付加保険料に分けられます。純保険料は、保険金や給付金を支払うための財源になるお金です。純保険料は、年齢や性別などの統計から算出される予定死亡率と、保険料の運用の予定利率を基に決められます。一方、付加保険料は、保険会社の運営資金になるお金です。付加保険料は、保険会社の予定事業費率によって決まります。
7.生命保険の選び方
実際に加入する生命保険は、どのような基準で選べばよいのでしょうか。ここでは、生命保険の選び方について解説します。
7-1.加入する目的やライフステージに合わせて選ぶ
生命保険は種類によって保障内容が異なり役割が違うため、加入する目的やライフステージに合わせて適したものを選ぶ必要があります。たとえば、万が一に備えたいなら死亡保険、将来必要になる資金を確保したいなら貯蓄型の保険が適しています。自分や家族が抱える不安やお金がかかる将来のイベントなどを洗い出し、どのような保障・保険が必要か考えましょう。
7-2.保険金額や保険料で選ぶ
毎月の保険料や、万が一の場合に保障される金額などを重視して、生命保険を選択する方法もあります。家計の負担にならない保険料の額も考慮して、安心できる保障額を検討しましょう。一般的に、保険料は終身型より定期型の方が割安です。
また似た保障内容の保険でも、保険会社によって保険料は異なります。各社の保険を比較して選ぶことも大切です。
7-3.保障期間の長さで選ぶ
生命保険に加入する目的によって、必要な保障期間も異なります。保障期間が一定の期間でよいなら、期間を選択できる定期型を選びましょう。長期的な保障が必要なら、終身型が向いています。
実際に選ぶ際には、いろいろな要素を加味する必要があります。信頼できる担当者に相談し、自分にとって必要な保障の種類、保険料、保険金額、保障期間などを考慮して選択するとよいでょう。
8.生命保険に加入する場合の注意点
健康状態、病歴、治療歴などの状況によっては、保険に加入できない場合があり、たとえ加入できたとしても一定の制限や条件がつく可能性があります。
また、働き方、家族構成、ライフステージなどが変化すると、必要な保障内容も変わる場合が少なくありません。そのため、生命保険は定期的な見直しが重要です。さまざまな保険があるため、状況に応じた最適な保険を見極めましょう。
9.まとめ
生命保険は、万が一の場合に備えるための保険です。医療保険もあわせて活用すると、病気、ケガ、死亡などにより資金が必要になっても確保しやすくなります。さまざまな種類があるため、目的や状況に合わせて最適な保険を選ぶ必要があります。
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