医療保険には、通院保障の特約があります。しかし、通院保障の特約をつけるべきかわからない人や、どのような保障なのかよくわかっていない人もいるかもしれません。そこでこの記事では、医療保険の通院保障について詳しく説明していきます。通院保障の必要性や通院治療等の医療費負担の軽減につながる制度などもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
1.医療保険の通院保障とは?
医療保険の通院保障は、所定の通院治療により給付金を受け取ることができる保障です。通常、
病気やケガなどで入院治療を行い、退院した後にも継続して通院治療を受ける場合
に通院給付金が支払われます。医療保険に特約として付加するのが一般的です。
ただし、保障内容は保険会社や商品によって異なります。
2.医療保険の通院保障、ここに注意!
既に説明したように、通常、医療保険の通院保障の対象は、病気やケガで入院して退院した後の通院です。つまり、入院→退院→通院という流れでなければ通院保障の対象にはならないということです。商品によっては入院前の通院も対象になるケースもありますが、いずれにしても入院していることが条件です。
単に「風邪で体調が悪くて通院した」というケースでは通院保障の給付金は受けられません。
また通院保障の内容は、保険会社や保険商品によって異なります。入院して退院した後の通院について日額で保障される一般的な通院保障以外に、退院に対して一時金が支払われるものなどもあります。そのため、しっかりと保障内容を確認したうえで、自分に合ったプランを選びましょう。
通院保障に関する特約の名称や金額も保険会社によって異なるため、事前によく確認しておきましょう。
3.医療保険の通院保障は本当に必要?
医療保険の通院保障は本当に必要なのか悩んでいる人も多いでしょう。ここでは、通院治療に関する背景やどのようなときに必要かについて解説します。
3-1.近年入院日数は減少傾向にある
厚生労働省の「令和5年患者調査」によると、近年の入院日数(平均在院日数)は減少傾向にあります。 令和5年9月中に病院から退院した患者の平均在院日数は29.3日 です。 平成2年は47.4日 であったことからみても、在院日数は大きく短縮していることがわかります。
また、在院期間別の患者数の構成をみると、病院における 在院期間は「0~14日」が68.4% と最も多く、次いで「 15~30日」が15.5% となっています。 入院患者の約7割が14日以内 ですんでいます。
このように、長期入院する人の割合は小さいことがわかります。
3-2.医療技術は進歩している
前述したように、病院の入院日数は減少傾向にあります。入院日数が減少傾向にある背景には、医療技術の進歩と厚生労働省が在院日数の短縮化を目標に診療報酬制度を改定したり在宅医療等を推進してきたことがあります。そのため、近年では、短期間の入院とその後の通院でフォローするようなケースが多くなりました。
入院日数の短期化にともなって、退院後の通院治療のウエイトが高まっていることが想定されます。また、入院の必要のない日帰り手術も珍しくなくなっています。日帰り手術・入院について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
3-3.通院時の経済的負担を軽減したい人には通院保障は有効
通院が長引いたり付帯費用が多くかかることが心配なら通院保障は有効です。たとえば単なる通院ではなく、病院に行くまでタクシーが必要であったり、リハビリ通院が長引く、高価な薬代がかかるといったケースでは費用負担が重くなりがちです。
もちろん、そういう通院ばかりではありませんし(むしろ少ない)、蓄えが十分にある場合には必要ないでしょう。しかし、上記のようなケースが心配という場合には通院保障を検討するのも1つの方法です。通院保障があることで、経済的な負担を抑えられるため、通院時の不安や心配などの精神的負担も軽くできるでしょう。
4.医療保険の通院保障を検討する際に確認しておきたいポイント
医療保険の通院保障を検討する際に、確認しておきたいポイントがあります。
4-1.保障の対象・条件
一般的に通院保障の支払対象となるのは、入院給付金が支払われる入院をして退院した後に継続して行う通院治療です。通院保障はあくまでも、入院の原因である病気やケガの治療のための通院であることが条件となります。
詳しい条件や対象などは約款や契約のしおりに記載されています。そのため、保障の対象となる通院がどのようなものなのか、契約前にしっかりと確認しておくことが大切です。
4-2.給付金額
通院保障の給付金額は、一般的には日額いくらで設定します。自分にとって通院一日につきいくらの保障があると安心かを考えて設定しましょう。
また一部には退院時に通院一時金を受け取れるタイプの商品もあります。そのような商品は、退院後の通院保障として総額いくら必要かという視点で金額を設定します。
ただし、どちらのタイプであれ金額を大きくすれば保険料は高くなっていきますので、保険料負担とのバランスをとって自分に合ったプランを選ぶことが大切です。
4-3.支払い期間
通院保障の対象となる期間は商品によって異なります。たとえば、「退院した翌日から120日以内」「入院した日からさかのぼって60日以内、および退院した翌日から120日以内」というように決められていることが一般的です。無期限に保障されるわけではありません。さらにその期間内で何日分の通院までが保障されるかという上限や過去の通院保障も含めた通算の上限日数が決まっている場合もあります。
保障される期間や限度日数については十分に確認しておきましょう。
5.医療保険の通院保障以外で通院費の軽減ができる保障
民間の医療保険の通院保障以外にも、通院費の軽減につながる保障や公的な制度がいくつかあります。ここでは、4つを紹介します。
5-1.医療保険の入院給付金
医療保険には、入院した際にまとまった金額を受け取ることができる入院給付金があります。入院給付金は、1入院につきいくらと一時金で受け取れるものと、入院1日につきいくらと日額×入院日数で受け取れるものがあります。入院一時金は入院日数に関わらずまとまった給付金を受け取れることがメリットです。
入院給付金は入院にかかわる医療費や関連費用に備えるものですが、その後の通院も考慮して大きめの額を設定しておき、通院費用にも備えられるようにすることもできます。
5-2.傷害保険(ケガの場合)
傷害保険とは、ケガをして病院にかかった際の医療費に備えられる保険です。傷害保険の場合には、入院をともわない通院であっても補償の対象となります。ただし、病気による入院や通院は補償対象外です。
またケガといってもすべてのケガが対象となるわけではなく、急激かつ偶然な外来事故によるケガでなければなりません。例えば「交通事故によってケガをした」「料理をしていて火傷した」などのケースが対象となります。「靴擦れ」「骨折中に運動をして悪化させたケガ」などは対象外です。
5-3.高額療養費制度
入院や通院などによる高額な医療費は、民間の保険だけでなく公的な医療保険制度で負担を抑えられる場合もあります。なかでも高額療養費制度は医療費が高額になった場合に役立つ制度です。
高額療養費は、1月の医療費の自己負担額が一定(上限額が決まっている)以上になった場合にその上限を超えた金額が支給される制度です。
高額療養費は、公的医療保険の対象となる医療費であれば入院の有無は関係なく通院による医療費も対象です。ただし、利用できるのは1月の医療費負担が高額になった場合に限られます。自己負担限度額は所得や年齢によって異なるため、詳しくは以下の記事でご確認ください。
5-4.医療費控除
通院に関わる給付金を受け取れるわけではありませんが、経済的負担を抑えたい場合には医療費控除も活用できます。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定の金額(一般的には10万円)を超えた場合に適用される所得控除です。確定申告等で申請することで、10万円を超えて負担した部分(金額)が所得から控除され、税が軽減されるという仕組みです。
医療費控除は給付金ではないため、医療費を賄ったり通院にかかる費用をカバーしたりすることはできません。また年間の医療費の額が10万円を超えた場合が対象です。直接的に通院費への備えとはなりませんが、条件に当てはまった場合には、医療費控除を活用することで経済的な負担の軽減につながります。
6.がんでの通院治療に使えるがん保険の主な保障
次にがん保険の通院保障についてみていきましょう。
がんの治療については、以前は手術を中心に入院をともなう治療が主流でした。しかし、近年は手術後の入院期間が短縮されたり、通院による抗がん剤治療や放射線治療など入院をともなわない治療が増えてきています。そのため がん治療においては通院保障が重要 です。
がんでの通院治療に使える主な保障は以下のとおりです。
・がん通院給付金
・がん治療給付金
・がん通院療養給付金
・がん診断一時金
がん通院給付金とは、がんの治療を目的に通院した場合に給付金が受けられる保障です。
昔は、一般的な医療保険の通院保障と似たように、入院後の通院について保障していましたが、がん治療方法の変遷とともに、現在は入院の有無を問わずがんの治療による通院も保障されるようになってきています。
がん治療給付金は、抗がん剤や放射線などの治療を受けた際に受け取れる給付金となっています。抗がん剤治療給付金、放射線治療給付金など、特定の治療に特化した給付金もあります。
がん退院療養給付金はがんで入院後、退院した際にまとまった給付金が受け取れる保障です。
また、がん診断一時金はがんと診断された際にまとまったお金を受け取れる保障です。通院保障ではありませんが、受け取ったお金は治療のために幅広く使うことができるため、通院費用にあてることも可能です。
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7.がん保険の通院保障を選ぶ際のポイント
がん保険 の通院保障を選ぶ際には、保障の対象となる治療内容と給付金の限度日数を確認しましょう。
7-1.保障の種類と対象の治療内容
がん治療での通院はさまざまで、抗がん剤治療や放射線治療などを受けるための通院から、手術後のリハビリ、経過観察のための通院など幅広くなっています。
前章で説明したように、通院治療に関する保障にはいくつかの種類があります。それによりどのような通院に対応できるのかが変わってきます。そのため、がん保険を選ぶ際にはいろいろな通院治療に対応できる保障を選ぶことが重要です。
また、一般的に自由診療は保障の対象外という保険が多いので、自由診療の治療を想定する場合は、自由診療にも対応できる保障や商品を検討に入れるとよいでしょう。
7-2.給付金の限度日数
給付金が支払われる限度日数や支払い回数についても、必ず確認しておきましょう。支払限度日数や支払い回数は保険商品や保障の種類によって異なります。がんの場合、限度日数が無制限という保障も多いですが、上限が設定されているものもあります。治療給付金などでは、対象となる期間や回数に制限があります。
がん治療は長くなればなるほど経済的負担が大きくなるため、支払限度日数や支払い回数等に制限があると、治療途中で給付金が途絶えてしまうということも起こりえます。そのため、経済状況なども考慮しながら自分にとって十分だと思える日数を選ぶとよいでしょう。
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8-1.くらべる保険なびとは
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9.まとめ
通院保障とは、医療保険等につけられる通院治療に関する保障です。医療保険の場合、一般的には入院して退院した後の通院治療について給付金を受けられ、通院治療の経済的負担の軽減に役立ちます。通院保障は保険商品やプランによって内容が異なるため、保障の対象や条件、給付金額、支払い期間などをしっかりと確認して、比較検討するようにしましょう。
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