ライフステージとは、人の一生をいくつかの期間に分けた場合のそれぞれの期間(段階)のことをいいます。 このライフステージは、どのような人生を送るかというライフプランを考える上で基本の単位となります。そして生命保険の加入においては、ライフステージの変化にあわせて必要保障額や加入すべき保険を選ぶことが重要になります。なぜなら、ライフステージが変化して家族構成や生活スタイルが変われば、その都度、必要な保障も変わり保険を見直す必要があるからです。
ここでは、一般的なライフステージの変遷を紹介するとともに、ライフステージの変化にあわせて必要保障額がどう変わるか、どんな保険が必要か、そして、どんなタイミングで保険の見直しをしたらよいかといった基本的な考え方をわかりやすく紹介します。ぜひお読みいただき、継続的に過不足のない保障を維持できるようになってください。
1. ライフステージとは?
ライフステージとは、人生を一定の基準によっていくつかの期間に区切った場合の一つひとつの期間のことを指します。たとえば年齢によって、幼年→児童→少年→青年→壮年→老年などと分けることがそうです。
また、人がどのような人生を送るかを計画する ライフプランにおいては、就職や結婚・出産などの生活が変わるきっかけとなるライフイベントを節目にしてライフステージを考えます。 生命保険の加入や見直しについても、このライフイベントを節目としたライフステージにあわせて検討することになります。
■ライフイベントで区切られたライフステージ
ライフイベントにあわせたライフステージは、一般的には図のように新社会人になってからの「独身期」→「結婚期」→「育児期」→「こどもの成長期」→「子育て後」→「老後」と分けられます。
2. ライフステージにより変わる生命保険の必要保障額
ライフステージのことをおわかりいただいたところで、生命保険の必要保障額との関係をみていきましょう。
2-1. 必要保障額とは?
必要保障額とは、万一死亡した場合に、家族に残す必要がある(家族がその後の生活を送るにあたって不足してしまう)お金のことで、生命保険で保障すべき金額といえます。
例えば、独身で1人暮らし、経済的に自立していて他の家族を養っていないという人であれば、誰かにお金を残すことはあまり考えなくてよいでしょう。しかし、一家を支える大黒柱の人であれば、その人の死亡=家族の収入がなくなることにつながります。十分な貯えがない場合は、家族に残すお金が足りていないということになってしまいます。そこで、その足りない金額である必要保障額を死亡保険金の額として、生命保険に加入して万一に備えるのです。
そしてこの必要保障額は、先ほどの独身の場合と家計を支える大黒柱の場合で要・不要が違っていたように、ライフステージによってその額が変わってきます。
2-2. ライフステージの移り変わりと必要保障額
1章でみたように、自立した社会人になって以降、結婚、出産、住宅購入などを節目にライフステージは変化していきます。それにともない必要保障額がどのように変化するのかを考えてみましょう。
ここでは、ライフステージによって必要保障額が大きく変化することになる典型的なパターンとして、結婚して家計を支える立場になり、その後にこどもを持ち、会社を定年退職するまでの期間で、必要保障額の変化をみてみます。
■ライフステージによる必要保障額の変化の例
a)
[独身期]就職して社会人になって経済的に独り立ちしたとき
家族を扶養しているわけではなく、万一の場合に残すべきお金もあまり必要ない。自分の葬式代程度のお金を残せれば十分です。
b)
[結婚期]結婚して夫婦2人だけのとき
結婚して家族を持ったので、万一の場合に配偶者が生活を立て直すために必要なお金を残す必要があります。共働きであれば、その額は少しでよいでしょう。
c)
[育児期]こどもが生まれて小さいとき(住宅購入まで)
万一の場合に、こどもが大人になるまでの生活費や教育資金を残す必要があります。最も必要保障額が大きくなる時期です。
d)
[こどもの成長期]こどもが義務教育を終え進学していくとき(住宅購入後)
こどもが大きくなってきて住宅を購入した場合は、その後の家賃負担を考慮しなくてよくなり、必要保障額が小さくなります。
e)
[子育て後]こどもが独立し再び夫婦2人の生活
こどもを扶養する負担から解放され、必要保障額は小さくなります。
3. ライフステージ毎の保険加入の考え方と見直しポイント
ライフステージにより必要保障額が変化することと同時に、必要となる保険も変わってきます。したがって、生命保険や医療保険はライフステージが変化する以下のようなライフイベントがあったときに加入したり、保障内容を見直したりすることをおすすめします。
3-1. 独身期の保険は [新社会人になったとき] に加入・見直しする
新社会人になり経済的にも独立したときが、自分の保険について最初に考えるときです。扶養している家族等がいない場合であれば、死亡後に 自分の葬式代などの死後の整理資金として 300 万円程度残せれば十分 なので、それだけの貯蓄がない場合は、 300 万円くらいの終身保険に加入するとよいでしょう。
医療保険については、保険料が割安な時期なので、このタイミングで一生の保障を見据えた保険に加入するか、あるいは、貯蓄がしっかりできる人であれば定期的な貯蓄で備えていくか、判断するとよいでしょう。
3-2. 結婚期の保険は [結婚したとき] に加入・見直しする
結婚すると、何かあったときに配偶者に対してどんな影響があるかを考えなければなりません。
夫婦共働きで、お互いに十分な収入がある場合は死亡保障はそれほど必要ではありません。独身時代と同様に 300 万円くらいの終身保険に加入するとよいでしょう。
働いているのが夫または妻の片方だけというときは、 家計を支える世帯主はさらに定期保険などで 500 ~ 600 万円くらい上乗せの保険に入るとよい でしょう。
医療保険については、独身期と同様な考え方となります。
3-3. 育児期の保険は [こどもが生まれたとき] に見直しする
こどもが生まれると、親としての責任が重くなります。
こどもの人数や年齢、教育プランによって違いますが、一般的に 世帯主には数千万円の死亡保障が必要 となってきます。現在の手取り月収をもとに、収入保障保険の月額などを決めて、こどもが独立するまでの期間加入するとよいでしょう。
医療保険については、子育て期で貯蓄の確保が難しい時期なので、もしもの備えが足りていない場合は加入しておくとよいでしょう。
基本的には、世帯主の死亡保障を厚くすることがポイントとなります。
3-4. こどもの成長期の保険は [住宅を購入したとき] をめどに見直しする
住宅を購入すると、その後は家賃の支払いがなくなります。
また住宅ローンを組んだ場合は、一部のローンを除いて、ほぼ団体信用生命保険に加入することになるため、死亡した場合はその後の住宅ローンの返済が不要となります。そうなると、家賃の支払いに相当する金額分、必要保障額が少なくてすむので、 これまで加入していた生命保険の保険金額のうち家賃想定分を減額 できます。保険を減額すると、保険料の支払い負担は軽くなります。
だから 住宅購入時には、必ず生命保険を見直す ようにしましょう。
3-5. 子育て後の保険は [こども(末子)が独立したとき] に見直しする
こどもが就職して独立すると、親としての経済的な責任が軽くなります。今後は夫婦 2 人だけの生活に必要となるお金を考えればよくなります。
もし、こどもの生活費や教育資金を考慮した高額な生命保険に入っていて、まだ保険期間が残っている場合は、その保険を解約するか減額するとよいでしょう。
子育てが終了したら、 死亡保障は 1,000 万円くらいから、配偶者が専業主婦(主夫)であれば 2,000 万円くらいまでを目安 に最低限必要な金額にするとよいでしょう。
この時期になると、高額な死亡保険に加入するより、 老後に向けた貯蓄をしていく ときだといえます。
3-6. 老後の保険は [定年退職したとき] に見直しする
定年退職後で、夫婦お互いに年金がもらえるようになれば、死亡保障はそれほど必要ではなくなります。
相続対策などの理由がなければ、高額な死亡保険に加入するよりも、 退職金の運用など、老後にゆとりをもって生活していけるようなマネープランを考えたほうがよい でしょう。
この年齢になると、健康の不安を感じて、ついつい傷害保険に入ったり割高な医療保険に入ったりしがちですが、傷害保険は病気の時には使えませんし、医療保険もいくら払っていくらの保障があるのか、保険期間はいつまであるのかなどを冷静に判断して加入する必要があります。
4. まとめ:ライフステージが変わるときが重要なポイント
ライフステージとは、結婚や出産などのライフイベントで区切った人生のそれぞれの段階のことをいい、ライフステージが変わることで必要な保険や保障額が変わってきます。したがって、いくら十分な検討をしてよい保険に入っていたとしても、ライフステージが変わると自分に合っていない保険になってしまう可能性があります。
したがって、ライフステージが変わるときには、新たに生命保険に加入したり、既存の保険を見直したりすることが大切です。このライフステージが変わるポイントである、大きなライフイベントがあったときには、保険のこともあわせて考えるよう習慣づけるとよいでしょう。
ただし、個人で保険の見直しをするのは難しく判断に迷うこともあると思います。保険のプロやファイナンシャルプランナーに相談するとよいでしょう。
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