保険の見直しというと、現在の契約を解約して新たな保険に加入し直すと考えがちです。しかし、見直し方法はそれだけではなく、他にも多くの方法があります。保障を減らす場合も増やす場合も、見直し方によっては有利にも不利にもなりえますので、いろいろな見直し方法からより良い方法を上手に組み合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、保険を見直す時に安易な解約をして失敗することがないよう、解約前に知っておくべき注意点や、さまざまな見直しの方法をまとめて紹介しています。ぜひ保険見直しにお役立てください。
1. 保険の見直しでやってはいけない!解約のタイミングに注意
生命保険や医療保険を見直す際に、これまでの保険契約を解約して新しい保険に加入し直す、ということがよくあります。古い保険よりも、新しい保険の方が、今の医療レベルや治療方法に合致した保障があるなど、古い契約を解約して見直しをする方が、メリットが高くなるケースも増えています。
しかしそんなときでも、解約にはいくつかの注意点が必要となります。順番に見ていきましょう。
1-1. [ポイント①]無保険期間を作らない!
古い保険を解約して新しい保険に切り替えるとき、その間に空白期間があると、もしもその間に保険金支払いの事由が発生しても保険金が支払われないということになります。さらに、新しい保険に加入しようとしたときに病気やけがにより加入できなくなるという可能性もあります。
ですから、解約して新しい保険に加入し直したい場合には 無保険期間を作らないように注意 してください。
具体的には、まずは新しい保険に申込んで、告知書での健康告知や、医師による診査等を行い、その結果、保険契約が正式に成立するまで待ちましょう。必ず、 新契約の成立を確認してから、古い保険を解約するようにしてください。
申込書を書いただけ、診査を受けただけでは契約は成立していませんので注意してください。また、申込所の書き間違いやクレジットカード番号の書き間違いなどにより、契約が成立しないという可能性もありますので必ず成立確認をしてください。確認方法は、契約した保険会社や保険代理店などに直接連絡して聞いてみるのがいいでしょう。
1-2. [ポイント②]がん保険の免責期間を考慮
がん保険には、多くの場合、 加入してから 90 日または 3 か月以内に発症したがんには給付しない 、とする決まりがあります。こうした、保険契約(成立)後の保障のない期間を 免責期間 と言います。つまり、契約が成立したからといって保障があるわけではありません。がん保険にはこのような免責期間があることに十分注意してください。
なお、同じ保険会社のがん保険の場合、この免責期間無く切り替えが可能という商品もあります。詳しくは各保険会社に確認ください。
1-3. [ポイント③]将来の受取金の違いを比較する
貯蓄性のある保険の見直しで、古い保険を解約して新しい保険に加入し直す場合には、将来受け取れる金額の違いについてよく確認しください。基本的に、 古い保険ほど予定利率が高い ため、その分、受取額が多くなります。安易な解約で損失を被る場合もありますので十分に注意してください。
2. 保険の見直しは入り直しだけでなく、複数の方法がある
今入っている生命保険が本当に必要なのか、もっと安くできないかなど、加入中の保険について不安になるときがありますよね。でも、あわてて見直して、新しい保険に入り直してしまうのは間違いの元となることがあります。
とくに保険料を抑える方法には複数のやり方がありますので、安易に解約をせず、まずは専門家に相談したり、現状の収入や加入している公的保険の内容などを確認して、 必要保障額を算出し直すことから始めることが無難 です。
ここからは、保険の見直しをしたい目的別に、どんな見直し方があるかを説明していきます。
3. 保険料を安くしたい・保障を減らしたいときの見直し方法
保険料を安くしたいときは、より安い保険に入るだけでなく、不要な特約のみを解約したり保障を小さくするという方法もあります。
- 解約 → 新しい保険を契約
既存の契約を解約して、保険料の安い新しい保険に加入し直す方法です。 1 章で述べたような点に注意してください。
- 特約の解約
現在の契約の特約など、不要な部分を一部解約する方法です。少しずつ削っていくことが可能です。
- 減額
現在の保障を小さくする方法です。例えば、死亡保険金額を半分に減らす、といったやり方です。商品によっては減額できないものや、限度額がある場合もあります。
4. 保障を増やしたいときの見直し方法
保障を増やしたいときは新しい保険に入り直さなくても、契約を追加したり特約をつけたりといろいろな方法があります。
- 新しい保険の追加加入
現在の保険を解約せずに、新しい保険に追加加入して保障を増やす方法です。保険料は一般的に年齢が上がるほど高くなりますので、すべてを新契約とすると高額になってしまう場合もあります。そのため、このように全部ではなく一部を追加で加入する方が効率がいいケースがあります。
- 特約の中途付加
現在の契約に特約を中途付加して保障を増やす方法です。新しい保障を追加したいときには、まずは特約で中途付加できるものがないかを探してみましょう。
- 解約 → 新しい保険に加入
現在の保険を解約し、新しい保険に加入し直す方法です。商品によってはそうする方がトクとなるケースもあります。一部追加する場合と、全部新しくする場合とで、保障範囲や保険料合計額などを比較してみるとよいでしょう。
- 契約転換制度
現在契約している保険契約の責任準備金や積立配当金を、転換価格として充当し、同じ保険会社の新しい商品に加入する方法です。大手生保など、一部の保険会社で取り扱っている方法で、同じ保険会社の商品で保障を増やす場合に有効な方法です。
転換価格を頭金のような形で充当するため、新規で加入するよりも保険料が割安になることが特徴です。ただし、転換制度を利用することで予定利率が変わる場合がありますので注意が必要です。
5. 保険料の支払いをやめたいときの見直し方法
保険料の支払いをやめるというと解約するしかなさそうですが、実は解約以外の方法があります。保険料を支払わず、一定の保障を維持することができる方法がありますので、ぜひ有効に活用してください。
- 解約
現在の契約を解約する方法です。保障がなくなるため、本当に解約すべきかはよく考えましょう。
- 払済保険
保険料の支払いを中止して、同じ保険期間で、保障を小さくする方法です。
現在加入している死亡保険のその時点の解約返戻金を、一時払い保険料に充当する形を取り、既存の契約と「同じ保険期間」のまま「同じ種類」(例:終身→終身)の、保障の小さい保険に変更します。
以降の保険料を払う必要はなくなり、死亡保険金などの保険金額が減り、特約部分の保障は消滅します。払済後の保険料は、契約当時の料率で計算されるので予定利率が高い時期に加入していた人にとっては、解約して新規に加入するより有利な場合が多いです。
- 延長保険(定期)
保険料の支払いを中止して、同じ保障額の定期保険にする方法です。
現在加入している死亡保険のその時点の解約返戻金を、一時払い保険料に充当して、既存の契約と死亡保障額が同額の「定期保険」に変更します。以降の保険料を払う必要はなくなり、死亡保障額はそのままですが特約部分は消滅します。
充当する時点の解約返戻金額によって保険期間が異なり、通常は元の保険の保障期間より短くなりますが、充当金が多い場合は元の保険の払込満了期間を経過すると保障は終了し、余ったお金は満期金として支払われます。
【ご注意】保険会社や保険商品によって取れる方法が異なります。詳しくは保険会社、または当社窓口までお問い合わせください。
6. まとめ:生命保険を見直す時は専門家に相談を!
最後に、生命保険の見直しの注意点について箇条書きでまとめました。安易な見直しをすることがデメリットとなる場合がありますので、十分に注意してください。
- 無保険期間をつくらないよう、新しい保険が成立するまで古い契約を解約してはいけません。
- 今の保険を解約して新しい保険に加入し直す方法のほかにも、いくつもの選択肢があります。安易に解約に走らないよう注意してください。何をやめるのかというよりも、何を残すのかを考える方ことがコツです。
- 生命保険の見直しには、専門的な知識も必要なため、ファイナンシャルプランナーや生命保険の営業担当者など、専門家に相談してみるとよいでしょう。
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