一般的な会社員は、年末調整で生命保険料控除をすれば、所得税・住民税の控除があり、税金が安くなります。そして、もし申告し忘れた場合でも、自分で確定申告(還付申告)をすれば、払い過ぎた税金は戻ってきます。
経験のない人は確定申告を面倒に思いがちですが、控除し忘れた分の税金を戻してもらう(還付申告)だけならそれほど難しい手続きではないので、あきらめずに申告して払いすぎた税金を取り戻すようにしましょう。
この記事では確定申告(還付申告)の手続きの概要も紹介していますので、生命保険料の申告を忘れたという人はぜひ参考にして、申告してみてください。
1. 年末調整で保険料控除を申告し忘れた人は確定申告で還付してもらおう!
生命保険に加入していて保険料を払っている人は、所得税を計算する際に「生命保険料控除」があり、一定額まで所得控除が受けられます。
1-1. 会社員なら通常は年末調整で申告
会社員などの場合には、勤め先の年末調整で控除の申請ができるので、自分で確定申告をしなくても払いすぎた税金を戻してもらうことができます。年末調整のときに、配偶者控除や扶養控除、 2 年目以降の住宅ローン控除などとともに生命保険料控除を申告すれば税金を戻してもらえます。
わかりにくい書類記入がありますが、面倒がらずに申告しましょう。
1-2. 年末調整で申告できなかったときも、実は確定申告(還付申告)が可能!
もし何らかの事情で年末調整の際に生命保険料の申告ができなかったとしても、あきらめることはありません。 確定申告をすれば同じように税金を戻してもらえる からです。特に、もともと確定申告の必要がない会社員等は、確定申告時期だけにかかわらず、 翌年以降 5 年間はいつでも申請(還付申告)することが可能 です。
2. 生命保険料控除には 3 種類の控除と新旧区分がある
生命保険料控除は、「一般生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」の三つに分かれています。そしてさらに、制度改正前の保険契約か改正後の保険契約かの違いにより、新・旧区分があります。
1-1. 3つの生命保険料控除あわせて最大 12 万円の控除枠がある
生命保険料控除は、一般生命、介護医療、個人年金の各控除ごとに控除額の上限が決められています。各控除で、 1 年間に支払った保険料のうち最高 4 万円までが所得控除の対象となります。合計では、 3つの控除合わせて最大で 12 万円までを所得から控除できます (平成 23 年までに契約した保険は最高 10 万円まで)。
- 一般生命保険料控除
人の生死(生存と死亡)にもとづいて保険や給付金が支払われる保険に関して受けられる控除です。
- 介護医療保険控除
入院や通院にともなって保険金が支払われる保険に関して受けられる控除。
- 個人年金保険料控除
個人年金保険料税制適格特約の付加された個人年金保険に関して受けられる控除です。
1-2. 注意!生命保険料控除制度は新・旧ある
生命保険料控除は、平成 24 年に法改正があったため、 保険をいつ契約したかによって控除できる対象や上限額が変わってきます。 法改正以前に結んだ契約は「旧制度」、法改正以後に結んだ契約は「新制度」の対象となります。したがって、控除額などを計算する際には、自分が加入している保険がどちらの制度の対象なのかを把握しておく必要があります。
上記制度改正では、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除に加えて介護医療保険控除が新設されました。 旧制度の対象となっていた生命保険契約でも、平成 24 年以降に更新・転換・特約の中途付加などを行った場合は、以後の保険料が新制度の対象となります。
ただし、リビングニーズ特約や指定代理請求特約などの保障のない特約や、災害割増特約や傷害特約など身体の傷害のみに基因して保険金が支払われる特約については、中途付加しても新制度の対象のとはなりません。
3. 確定申告のやり方
確定申告を行うには、税務署で用意している確定申告書の用紙に必要事項を記入して提出する必要があります。
3-1. 基本は源泉徴収票や生命保険料控除証明書からの転記で OK
確定申告書はいろいろな種類がありますが、会社員などが生命保険料の還付申告を行う場合は、 確定申告書Aという用紙を使用 します。申告用紙は税務署でもらえるほか、国税庁の HP からダウンロードすることもできます。
申告書を記入するときには、 会社からもらった源泉徴収票 と 生命保険会社から郵送された生命保険料控除証明書 を用意します。それらに記載されている金額を申告書に書き写していきますので、書類を作成するときにそろえておきましょう。申告書には、申告書を受け取る時に一緒にもらえる記入方法が書かれた用紙を参照しながら記入していきます。
3-2. 国税局の WEB サイトで作成することもできる
また、国税局 WEB サイトの「 確定申告書等作成コーナー 」では、必要な数字を入力していくと自動的に計算して申告書類を作成できるようになっています。自分で計算するのが面倒な人や、生命保険料控除以外にも医療費控除など申告する項目が複数あって計算が複雑になりそうな人は、 WEB サイトに給与所得者向けの作成コーナーもあるので、こちらを利用するといいでしょう。
ちなみに医療費控除も行う人は、医療機関に支払った領収書や交通費などの領収書などが必要となります。生命保険会社の医療保険などに加入していて給付を受けた場合は、その額を実際にかかった医療費から差し引いた残りの額が控除対象額となります。
4. おまけ:会社員でも確定申告が必要なケース
会社からお給料をもらっている人で確定申告が必要なのは、以下のような人たちです(年末調整を忘れたなどでなく、もともと必要)。
- 会社をやめて年末調整の時期に在籍していない人
- 2 カ所以上からお給料をもらっている人
- 2,000 万円以上のお給料をもらっている人
これらの人は年末調整ができないので、確定申告で税金を戻してもらうことになります。その際に生命保険料控除も忘れずに申告しましょう。
5. まとめ:年末調整を忘れても保険料控除はできる! 5 年間は可能
ここまで見てきたように、生命保険料控除は、年末調整で申告し忘れたとしても確定申告等であとから申請することができます。 また、過去に年末調整をし忘れたことに気づいた場合、 5 年前までさかのぼって確定申告で還付申告ができます。
生命保険に入っていたのにこれまで申告していなかったという人は、過去の分も申告するとよいでしょう。