「入院中の食事代(病院食の費用)はいくらかかるのか?」
「病院によって高い安いはあるのか?」
そんな疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からいうと、入院中の食事代は一律に値段が決まっています。
これは健康保険の入院時食事療養費という制度により標準負担額が決まっているからです。
この記事では、その標準負担額について2024年6月の改定で値上げされた新しい金額を紹介するとともに、長期入院時の食事代の目安がわかるシミュレーション事例なども紹介していきます。参考にしてみてください。
※この記事は2024年8月28日時点の入院費食事療養費に基づいて作成しています
1. 2024年6月に値上げ!入院中の食事代が1食490円に
冒頭で述べたように、入院中の食事代の標準負担額は、公的医療保険制度において一律に決まっています。
その金額は
「1食につき490円」
です。
ここでは協会けんぽの情報をもとに、入院時食事療養費の内容について説明します。
1-1. 食事代の負担額と値上げの推移
入院中のいわゆる病院食の標準負担額は、以前は260円(一般の所得者)だったのですが、医療保険制度の改正によって、平成28年(2016年)4月に260円から360円に、平成30年(2018年)4月に460円に引き上げられ、 令和6年(2024年)6月からは490円 となりました。
食事代の標準負担額は平均的な家計の食費を勘案して厚生労働大臣が定めることとなっており、10年くらいの間に2倍近くに引き上げられています。
今後も物価の変動等により値上げされれる可能性はあるので注意して確認するとよいでしょう。
■入院費食事療養費による負担額の推移
改定時期 |
一般区分の負担額
※1食あたり |
~2016年3月 | 260円 |
2016年4月~ | 360円 |
2018年4月~ | 460円 |
2024年6月~ | 490円 |
※協会けんぽWEBサイトをもとに作成
1-2. 住民税非課税の方は1食230円
入院中の食事代の標準負担額は一律に決まっていると説明しましたが、住民税の非課税世帯の方については少し負担が軽くなり、1食あたり230円となっています。
また、これらの方が長期入院となり過去1年間の入院日数が90日を超える場合は、さらに安くなり1食あたり180円となります。
そして住民税非課税世帯で、かつ所得が一定基準に満たない70才以上の高齢受給者の場合は、1食につき110円という軽減措置を受けることができます。
ただし、標準負担額の軽減措置を受ける場合は「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」と「被保険者証」を医療機関の窓口へ提出しなければなりません。認定証は事前に「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」を健康保険の保険者に提出することで交付を受けることができます。
■入院時食事療養費の住民税非課税世帯の負担額
区分 |
負担額
※1食あたり |
住民税非課税世帯 | 210円 |
住民税非課税世帯で
過去1年間の入院日数が90日を超えている場合 | 160円 |
住民税非課税世帯で
所得が一定基準に満たない70歳以上の高齢者 | 100円 |
※協会けんぽWEBサイトをもとに作成
なお、非課税世帯に該当する条件は会社員等の加入する健康保険と自営業者等が加入する国民健康保険とで、細かい違いがある場合があります。ご自身の加入している健康保険の規定を確認するようにしましょう。
2. 長期入院した場合の食事代の試算
1章では入院中の食事代の負担額について説明しました。この章では長期入院の場合にどのくらいの値段になるのかを試算します。こちらも合わせて参考にしてください。
<計算例1>入院期間が1ヵ月(30日)の場合
一般の方の場合は、食事代の1食の負担額は490円であり、1日の食事回数と日数の掛け算となります
490円 × 3食 × 30日 = 44,100円住民税非課税世帯の方の場合は、食事代の1食の負担額は230円であり、1日の食事回数と日数の掛け算となります
230円 × 3食 × 30日 = 20,700円
<計算例2>入院期間が4ヵ月(120日)の場合
一般の方の場合は、長期入院であっても食事代の1食の負担額は490円と一定で、1日の食事回数と日数の掛け算となります
490円 × 3食 × 120日 =176,400円住民税非課税世帯の方の場合は、90日までは食事代の1食の負担額は230円で、91日目以降は180円となるため、日数を分けての掛け算となります。
230円 × 3食 × 90日 + 180円 × 3食 × 30日 = 78,300円
3. 参考情報:入院時に用意するもの、あると便利なもの
入院となると、食事代などの金銭以外にも、どんな準備が必要か気になるのではないでしょうか。実際に、用意しておくと便利なもの・役に立つものがいくつかあります。必要になったときに初めて気がつく、見落としてしまいがちなものをピックアップしてみました。
3-1. 入院時に用意するもの
入院するときに必要なため用意しておくものは以下のようなものです。
証明書類etc
入院する病院によって必要な書類はまちまちですが、健康保険証、そして非課税世帯の方や高額療養費の現物給付を受ける方であれば、限度額適用・標準負担額減額認定証や限度額適用認定証などを用意しておかなければなりません。忘れないようにしましょう。現金
備品の購入などに使います。病院の売店などで必要なものを買うこともありますので、ある程度の金額は用意しておきましょう。印鑑
入院手続き等を行う際に必要になります。忘れないようにしましょう。
3-2. 入院中にあると便利なもの
入院生活において、あると便利なものは以下のようなものです。
テレビ用イヤホン
個室であればよいですが、他の入院患者さんの迷惑にならないためにも用意しましょう。コップ(割れないもの)
不意に落としてしまっても割れないような素材のコップが便利です。クリアファイル
入院手続きに関する書類や領収書などを入れておくものです。書類の管理がしやすくなりますノートまたは付箋
メモとして使うのはもちろん、喋ることができないときの意思疎通などに使えます。洗濯ばさみ
タオルや洗濯物を干すのはもちろん、カードや書類をまとめるクリップ代わりにも使えて便利です。
4. 入院中の食事代の自己負担額の値上げも考慮して医療保険を検討してみましょう
2016年(平成28年)以前は、入院中の食事代の自己負担額は1食につき260円と割とお手頃な値段であったため、食事代はさほど気にする必要はありませんでした。
しかし、現在は1食につき490円となっており、以前の倍近い値段になっています。1日あたりで考えると、 490円×3食=1,470円 とそれなりの額になることがわかります。外食が多い方にとっては全然安い額ですが、自炊で食費を節約しているような方にとっては高い額かもしれません。
このことからも、医療費も含めて入院費用全体の負担を抑えるためには、やはり医療保険に加入しておくと何かと便利だと言えるのではないでしょうか。特に終身タイプなど保険期間が長いものを検討する場合は、今後も食事代が値上がりする可能性があることを考慮して、医療保険の入院日額を設定することをおすすめします。
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