生命保険や医療保険に入ろうと思って調べているうちに、意味が似ているけど言い方が違う言葉が出てきて困惑することがありますよね。なかでも、保障に関する用語にはまぎらわしいものが多く、きちんと理解するのはなかなか大変です。
その一例が、保険金と給付金です。どちらも保険会社から支払われるお金ですが、 保険金と給付金には、受け取り回数や税金の取り扱いについて大きな違いがあります。
この両者の違いがわかると、保険への理解がぐっと深まります。これから保険に加入する予定の方、見直しを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1. 保険金とは
保険金とは、被保険者が死亡した場合や保険期間が満了した場合などに保険会社から支払われるお金のことです。 原則として支払いは1回のみ で、保険金を受け取ると保険契約は終了します。
1-1 保険金の種類
保険金には、さまざまな種類があります。代表的なものをみてみましょう。
■主な保険金
種類 | 内容 |
死亡保険金 | 被保険者が亡くなったときに受け取れるお金 |
高度障害保険金 | 被保険者が保険会社の定める高度障害状態になったときに受け取れるお金 |
特定疾病保険金
(三大疾病保険金) | 被保険者が、所定の疾病(三大疾病なら、がん・急性心筋梗塞・脳卒中)のいずれかで保険会社の定める状態になったときに受け取れるお金 |
介護保険金 | 被保険者が、保険会社の定める要介護状態になったときに受け取れるお金 |
リビングニーズ特約の保険金 | 被保険者が余命6ヵ月以内と判断された時に受け取れるお金。死亡保険金の一部または全部(上限 3,000 万円)を前もって受け取れる。 |
災害死亡保険金 | 被保険者が、不慮の事故または感染症によって亡くなったときに受け取れるお金 |
満期保険金 | 養老保険や学資保険などで、被保険者が満期まで生存していた時に受け取れるお金 |
1-2 保険金の受け取りと税金
死亡保険金や満期保険金には税金がかかります。 そして、契約者(保険料負担者)、被保険者、保険金受取人が誰であるかによって、税金の種類(相続税・所得税・贈与税)は変わってきます。なお、相続税については、生命保険の非課税枠の適用があります。
■保険金にかかる税金の種類(例)
保険金の種類 | 契約形態 | かかる税金の種類 | ||
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | ||
死亡保険金 | 夫 | 夫 | 妻(または子) | 相続税 |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税 ※ 1 | |
夫 | 妻 | 子 | 贈与税 | |
満期保険金 | 夫 | 夫 | 夫 | 所得税 ※ 1 |
夫 | 夫 | 妻(または子) | 贈与税 |
※1 保険金を一括で受け取った場合は一時所得(一時払い養老保険等の満期保険金で保険期間が5年以内のものを除く)、分割して年金で受け取った場合は雑所得として所得税がかかります。
いっぽう、 保険金であっても、高度障害保険金・特定疾病保険金(三大疾病保険金)・介護保険金・リビングニーズ特約の保険金など、病気やけが起因して支払われる保険金は非課税 です。
2. 給付金とは
給付金とは、被保険者が病気やけがで入院・手術をした場合などに、保険会社から支払われるお金のことです。 給付金を受け取ったあとも、保険契約は継続 します。
2-1 給付金の種類
給付金には、さまざまな種類があります。代表的なものをみてみましょう。
■主な給付金
種類 | 内容 |
入院給付金 | 被保険者が病気やけがで入院したときに受け取れるお金 |
手術給付金 | 被保険者が所定の手術を受けたときに受け取れるお金 |
通院給付金 | 被保険者が、入院給付金の対象となる入院後に通院する場合等に受け取れるお金 |
がん診断給付金 | 被保険者が、がんと診断されたときに受け取れるお金 |
先進医療給付金 | 被保険者が、厚生労働大臣が定める先進医療を受けたときに受け取れるお金 |
特定損傷給付金 | 被保険者が、不慮の事故が原因で「骨折、関節脱臼、腱の断裂」の治療を受けたときに受け取れるお金 |
生存給付金・お祝金 | 生命保険や医療保険の契約で、被保険者が保険契約期間中に生存しているときに受け取れるお金 |
2-2 給付金の受け取りと税金
入院給付金や手術給付金などには、病気やけがの治療にかかった費用を補うという性格があります。このような 損害を補てんするタイプの給付金には税金がかかりません。 そのため、本人や家族は税金の心配をせずに給付金を自由に使うことができます。ただし、 非課税で受け取った給付金を遺族が相続する場合には、相続税の課税対象となる ことがあります。
いっぽう、 生存給付金やお祝金のような身体の傷害に関わらない給付金は、課税の対象 となります。
■給付金にかかる税金の種類(例)
給付金の種類 | 契約形態 | かかる税金の種類 | ||
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | ||
生存給付金 ・お祝金 | 夫 | 夫 | 夫 | 所得税(一時所得) |
夫 | 妻 | 妻(または子) | 贈与税 |
2-3 給付金と医療費控除
損害を補てんするタイプの給付金は、非課税なので申告の必要はありません。しかし、確定申告で医療費控除を受けるときには注意が必要です。
医療費控除とは、世帯の年間医療費が 10 万円を超えた場合に、超えた分(最高で 200 万円)が所得から控除される制度です。 医療保険や生命保険から、病気・けがによる給付金を受け取った場合には、医療費控除額の計算において年間医療費から給付金額を差し引かなければなりません。
3. まとめ:違いはお金を受け取る回数と給付後の契約
保険金と給付金の違いは、お金を受け取る回数と給付後の契約によって区別することができます。 保険金は、原則として1度の受け取りで契約が終了しますが、給付金は、複数回受け取ることがあり、その後も契約が継続されます。 死亡や満期など、1度しかないものは保険金、入院や手術など何度も起こりうるものは給付金が支払われます。
税金については、 入院給付金や手術給付金のような病気やけがに対する治療費を補てんするタイプの保険金や給付金は非課税ですが、死亡保険金などの傷病による治療費等の補てんタイプではない保険金や給付金は課税対象 となります。
■保険金と給付金の違い(まとめ)
お金の種類 | 受け取れる回数 | 保険金・給付金の種類 | 税金 |
保険金 | 原則、1回のみ | 死亡保険金 | 課税 |
満期保険金 | |||
高度障害保険金 | 非課税 | ||
特定疾病保険金(三大疾病保険金) | |||
介護保険金 | |||
リビングニーズ特約の保険金 | |||
給付金 | 複数回も可 | 入院給付金 | 非課税 |
手術給付金 | |||
通院給付金 | |||
がん診断給付金※商品による | |||
先進医療給付金 | |||
生存給付金・お祝金 | 課税 |