傷病手当金はいくらもらえるのかご存じですか?
傷病手当金の支給額の目安は、給料(月給)の3分の2 です。正確な金額を知るには計算が必要ですが、この記事では計算式に則した早見表を掲載していますので、ご自身の支給額(日額)をすぐに知ることができます。
また支給額について気をつけたいとこととしては、傷病手当金とあわせて他の社会保険から給付を受けている場合は、傷病手当金の支給額が調整されることがあるということです。そのほかにも、傷病手当金受給中の社会保険料の負担に関することなど、この記事では傷病手当金に関する見落としされがちだけど注意が必要なことを説明しています。受取金額とともにぜひ参考にしてください。
1.傷病手当金の支給額
傷病手当金の支給金額は、おおむね月給の2/3と覚えておけばよいでしょう。実際の金額は、以下の計算方法での算出となります。
1-1.支給額の計算方法
傷病手当金の支給額は、以下の計算式で算出されます。
<1日あたりの支給額(計算式)>
ただし、支給開始日以前の健康保険加入期間が1年未満の場合は、以下のa、 bの少ない方の金額をもとに計算します。
a.
支給開始日の月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均
b.
当該年度の前年度9月30日における加入している健康保険の全被保険者の標準報酬月額の平均額
※標準報酬月額とは、健康保険料算出のもととなる1月あたりの報酬で、実際の給与額に基づき50等級の区分があります。詳しくは こちら(協会けんぽサイト) をご 覧ください。
1-2.傷病手当金の支給日額早見表
標準報酬月額の等級ごとに、前節の計算式により算出した傷病手当金の支給額(日額)をまとめて 早見表 を作成しました。
標準報酬月額に該当する「報酬月額の範囲」もあわせて記載していますので、そこに現在の月給をあてはめると傷病手当金の日額が確認できます。実際の等級については、必ずしも今の給与を表にあてはめたものであるとは限りませんが、前後の等級を含めて、だいたいこれくらいだという目安を知ることができます。
正確な標準報酬月額を知りたい場合は、会社の人事や総務等の給与担当者に確認してみるとよいでしょう。
■傷病手当金の早見表
・等級は1~50までありますが、ここでは13~40までを記載しています
・報酬月額をもとに、どの等級に該当するかをご判断ください
・金額の単位は円です
等級 | 標準報酬月額 | 報酬月額 | 傷病手当金日額 |
13 | 160,000 | 155,000~165,000 | 3,553 |
14 | 170,000 | 165,000~175,000 | 3,780 |
15 | 180,000 | 175,000~185,000 | 4,000 |
16 | 190,000 | 185,000~195,000 | 4,220 |
17 | 200,000 | 195,000~210,000 | 4,447 |
18 | 220,000 | 210,000~230,000 | 4,887 |
19 | 240,000 | 230,000~250,000 | 5,333 |
20 | 260,000 | 250,000~270,000 | 5,780 |
21 | 280,000 | 270,000~290,000 | 6,220 |
22 | 300,000 | 290,000~310,000 | 6,667 |
23 | 320,000 | 310,000~330,000 | 7,113 |
24 | 340,000 | 330,000~350,000 | 7,553 |
25 | 360,000 | 350,000~370,000 | 8,000 |
26 | 380,000 | 370,000~395,000 | 8,447 |
27 | 410,000 | 395,000~425,000 | 9,113 |
28 | 440,000 | 425,000~455,000 | 9,780 |
29 | 470,000 | 455,000~485,000 | 10,447 |
30 | 500,000 | 485,000~515,000 | 11,113 |
31 | 530,000 | 515,000~545,000 | 11,780 |
32 | 560,000 | 545,000~575,000 | 12,447 |
33 | 590,000 | 575,000~605,000 | 13,113 |
34 | 620,000 | 605,000~635,000 | 13,780 |
35 | 650,000 | 635,000~665,000 | 14,447 |
36 | 680,000 | 665,000~695,000 | 15,113 |
37 | 710,000 | 695,000~730,000 | 15,780 |
38 | 750,000 | 730,000~770,000 | 16,667 |
39 | 790,000 | 770,000~810,000 | 17,553 |
40 | 830,000 | 810,000~855,000 | 18,447 |
※協会けんぽの公開情報を基に作成
2.給料や他の社会保険からの給付があると金額が調整される
傷病手当金の受給中に給料が支払われた場合は、傷病手当金は支給されません。ただし、給料の日額が傷病手当金の日額よりも少ない場合は、差額分が支給されます。つまり、 給料と傷病手当金の合計金額が、本来の傷病手当金の金額になるように調整される ということです。
また同様に傷病手当金の受給中に、他の社会保険からも給付がある場合、例えば障害厚生年金を受けている場合等は、傷病手当金は支給されません。ただし、障害厚生年金額の360分の1が傷病手当金の日額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。
このように傷病手当金額が支給調整されることになる他の社会保険の給付には、傷害手当金(障害厚生年金)、退職後の老齢年金、休業補償給付(労災保険)、出産手当金(健康保険)があります。
3.注意!傷病手当金受給中でも支払いが必要なもの
傷病手当金を受けているということは、給料がない状態なので、社会保険料や税金の支払いは不要だと思うかもしれません。しかし、傷病手当金受給中でも支払いが必要なものがありますのでご注意ください。
3-1.社会保険料の支払い
傷病手当金の支給を受け、休職していたとしても、被保険者でなくなった訳ではありませんので、健康保険料、厚生年金保険料は支払わなければなりません。
その際の 健康保険料、厚生年金保険料は、原則、休職前と同じ額 になります。
3-2.住民税の支払い
傷病手当金は非課税ですので、その年に傷病手当金以外で収入を得ていないなら所得は0円となり、住民税はかかりません。
ただし、住民税については、前年の所得に対する税金を翌年に収めるかたちになっているので、現在、給料の支払いを受けていなくても前年の所得についての税金は支払わなくてはなりません。
なお、休職中でも傷病手当金以外に課税対象となる何らかの収入があれば(家賃収入、株や為替の取引など)、それらに対する課税(所得税、住民税)はあります。
4.もし傷病手当金受給中に退職したらどうなる?
傷病手当金を受給している間に会社を退職した場合 、傷病手当金の支給はどうなるのでしょうか?
その場合は、 次の2つの条件を満たしていれば、引き続き受け取ることができます 。
1 . 退職日までに継続して1年以上、健康保険の被保険者期間がある(任意継続の被保険者期間は除く)
2 . 退職の時(健康保険の資格喪失時)に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしている
注意点は、2の場合、 退職の日に退職手続き等のために会社に出社してしまうと、会社に出勤したことになる(休職期間が終わる)ため、傷病手当金を継続して受けることができなくなる ということです。
5.まとめ:傷病手当金の金額はだいたい月給の2/3
傷病手当金の受取金額は、標準報酬月額という基準により決まります。ただし、自分で標準報酬月額を正確に計算するのは難しいので、大まかには月給の2/3という目安を覚えておくとよいでしょう。
傷病手当金は病気やけがで働けない期間の生活を助けてくれる社会保障ですが、金額は通常の給料よりも少なくなります。したがって、そのことを意識した療養生活を送る必要があります。また、万一の場合に 傷病手当金だけでは足りないことがあらかじめわかっているときは、別途、所得補償保険や就業不能保険などで自分で備えを用意 しておくことも考えましょう。
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